CNS-FACEⅡについて
  1. CNS-FACEⅡとは

    CNS-FACE(シー・エヌ・エス・フェイス)とは、Coping & Needs Scale for Family Assessment in Critical and Emergency care settingsの略称で、重症・救急患者家族アセスメントのためのニード&コーピングスケールです。CNS-FACEⅡはその改訂版になります。前バージョンでは、46項目の評定でしたが、CNS-FACEⅡは31項目でアセスメントします。

    アセスメントは、自動計算システムによってweb上で行うことができます。結果は、横棒グラフ、折れ線グラフ、レーダーチャートで表示しますので、測定結果をビジュアルに捉えることができます。また、データをそのままダウンロードすることも可能です。

  2. CNS-FACEⅡの特徴
    1. 測定概念について

      CNS-FACEⅡは、救急医療、集中治療医療などで患者がクリティカルケアを受けている状態のとき、その家族の心理的側面を量的に測定するものです。測定概念は、ニードとコーピングの2つの側面です。ニードの下位概念には、社会的サポートのニード、情緒的サポートのニード、安楽・安寧のニード、情報のニード、接近のニード、保証のニードの6つがあります。コーピングの下位概念には、情動的コーピングと問題志向的コーピングの2つがあります(表)。

      これらの概念で構成されるCNS-FACEⅡは、理論的な概念枠組みとして、危機理論、ストレス理論、コーピング理論を用いています。


      表 CNS-FACEのニードとコーピングの測定概念
      ニード
      社会的サポート医療者、家族、知人などの人的、社会的リソースを求めるニード。サポートのなかでも、社会的サポートシステムを志向するようなニード
      情緒的サポート自己の感情を表出することによってそれを満たそうとするニード。サポートのなかでも、情緒的表現を通して、それを受け止めてもらったり対応してもらいたいと、意識的あるいは無意識的に表出されるもの
      安楽・安寧家族自身の物理的・身体的な安楽・安寧・利便を求めるニード
      情報患者のことを中心にした様々なことに関する情報を求めるニード
      接近患者に近づき、何かしてあげたいと思うニード
      保証患者に行われている治療や処置に対して安心感、希望などを保証したいとするニード
      コーピング
      情動的ストレスフルで苦痛をもたらす厄介な問題に対し、情動反応を調節していくこと。直接的な問題解決につながらないが、情動をコントロールすることによってストレスフルな状況を軽減させようとする対処
      問題志向的ストレスフルで苦痛をもたらす厄介な問題を巧みに処理し,変化させていこうとする対処。その問題を直接的に解決するような様々な行為を含む
    2. 測定方法と評価の特徴

      測定は、31の行動評定項目について対象家族の行動を4段階に評定し、一定の計算式に従って、それぞれのニードとコーピングを測定するものです。行動評定は、特別なインタビューや家族自身に記述を求めるものではありません。家族とのコミュニケーション、家族の面会の様子、家族どうしの会話などを観察し、客観的に評価するものです。

      行動評定者は、医療者のなかで最も家族に対応する機会が多い看護師を想定しています。日々の看護活動での家族ケアを通して、家族の様子をより詳細に観察します。

      家族に負担をかけず、評定者自身に特別な対応を要求するものでもないため、比較的簡便に測定できるものでありますが、評定者の意図的な関わりと鋭い観察眼を持つことによって、さらに信頼のおける測定が可能になるでしょう。

  3. 行動評定の方法

    「CNS-FACEⅡ行動評定チェック用紙」を用い、以下の注意点を守って対象家族の行動を観察・評定してください。

    1. 31項目の全てについて対象家族の行動を観察・評定してください。対象は、1名の家族員になります。対象家族はキーパーソンが主になると思いますが、他の家族員も対象とする場合は別の対象家族として観察・評定をしてください。
    2. チェック用紙を渡して家族自身に回答をさせたり、看護師が31項目に沿ってインタビューするものではありません。
    3. 行動評定は、基本的に1日1回実施してください。ただし、患者の状態が安定していたり、家族の行動にあまり変化がないと思われる状況では、2日に1回、3日に1回など期間を長くしても良いでしょう。
    4. 行動評定者は、プライマリーナースのような、その患者と家族のことをよく知っている者が、継続して観察・評定してください。望ましくは、プライマリーナースに加え、リーダーナースなどを含めた複数者で評定できると良いです。
    5. 31項目を踏まえて意図的にかかわりながら継続的に観察・評定してください。
    6. 家族の思いを引き出すようなコミュニケーションや、じっくり家族の話を聞いてあげられる時間を持つことも大切です。
    7. 評定段階は、「あてはまらない」、「少しあてはまる」、「あてはまる」、「大変あてはまる」の4段階です。該当項目の内容に、全くあてはまらない場合は「あてはまらない」に、少しでもあてはまる場合には「少しあてはまる」に、全くその通りにあてはまっている場合は「大変あてはまる」に、「少しあてはまる」と「大変あてはまる」の中間の場合には「あてはまる」にチェックをしてください。
    8. 4段階評価とは別に、「評定不可」という評定項目があります。面会時間が短時間で、家族の顔も見ることができなかった場合や、その他の理由で評価できなかったときなどどうしても評価できなかった場合には、ここをチェックしてください。ただし、ここにチェックが入らないように、看護師としての鋭い観察力と的確な洞察力を発揮してください。「評定不可」が多い場合、測定結果は「欠損値」として扱います。

    <CNS-FACEの計算方法>

    ニードについては、31の行動評定項目を次のように6カテゴリーに分けています(数値は項目番号を示す)。

    • 社会的サポート:1~4
    • 情緒的サポート:5~11
    • 安楽・安寧:12~16
    • 情報:17~21
    • 接近:22~26
    • 保証:27~31

    評定スケールの「あてはまらない」~「大変あてはまる」を1~4点とし、各ニードカテゴリーでその平均値を計算します。但し、「評定不可」にチェックがある場合は、その項目を除いた平均値になります。

    コーピングもニードの計算と同様にします。

    31の行動評定項目を、次のように2カテゴリーに分けています(数値は項目番号を示す)。

    • 情動的:5~11、13、15~16、27、30
    • 問題志向的:1~4、12、14、17~26、28~29、31
  4. 測定結果の解釈

    各ニード、各コーピングとも、最小1点~最大4点の範囲の点数になります。点数が高いほど、そのニード、そのコーピングが高いということを示しています。

    ただし、その値が比率尺度として絶対的な意味があるということではありません。例えば、情報のニードが1.5ポイントで、保証のニードが3ポイントであった場合、保証のニードは、情報のニードの2倍あるという考えはしないでください。

  5. CNS-FACEⅡの限界と活用上の注意点

    CNS-FACEⅡは、家族の心理面を客観的に捉え、その量的表現を試みた測定ツールです。しかし、その測定結果は、対象家族の真のニードとコーピングを数量化したものではありません。

    心理的な測定尺度として、統計学的手法を中心に様々な分析を加え、信頼性と妥当性を確保していますが、第3者による客観的な評価という測定手法自体がこのツールの限界を特徴付けています。

    刻々と状態が変化する患者、様々な非日常的な状況に晒される家族、煩雑で忙しい勤務条件の下でケアをする看護師、こうした背景があるクリティカルケアでも、家族の心理的アセスメントが、過剰な負担を強いることなく、特別なテクニックを必要とせず、比較的短時間で実施できるツールというのが、CNS-FACEⅡの利点です。

    測定結果が示す絶対的な数値に囚われるのではなく、経過におけるその数値の変化、各ニード、各コーピングでの測定値との対比、特定の集団との比較など、相対的評価をするところにその意義があります。

    CNS-FACEⅡのみで対象家族の心理的アセスメントをするようなことは避けてください。人の心は、物差しで測って済むようなものではありません。信頼関係を土台とした人と人との相互作用、ケアを受ける側と提供する側との援助関係、そして何よりも「人が好き」、「あなたの苦しみを和らげたい」といったアセスメントする側の人としての姿勢が最も大事だと思います。その基本に則って家族アセスメントをするときの一つの手段として、このCNS-FACEⅡを活用してください。

  6. 測定データの取り扱い

    測定データは、対象家族のケアに必要な医療情報という性質を持っています。測定結果データの数値のみにはプライベートな情報としての意味はありませんが、そこに対象を特定できる患者背景、家族構成、疾患の状況などが付随する場合は、プライベートな医療情報になります したがって、測定結果の扱いには十分配慮し、カルテ等の情報開示請求があった場合には、この測定結果も開示の対象になるという前提も必要と思われます。

    CNS-FACEⅡによる測定、取り扱い、およびホームページによるデータ入力と測定結果データに関し、何らかのトラブルが生じたとしても、開発者では一切の責任を負いかねます。

  7. CNS-FACEⅡの使用にあたり

    Homeページの「入力者を新規登録する」より、利用者登録をして下さい。

    「CNS-FACEⅡの測定方法」を読んでから測定して下さい。


    CNS-FACEⅡの測定方法

  8. CNS-FACEⅡ開発者
    • 山勢博彰(山口大学大学院医学系研究科) 代表
    • 立野淳子(小倉記念病院)
    • 田戸朝美(山口大学大学院医学系研究科)
    • 山勢善江(日本赤十字九州国際看護大学看護学部)

    CNS-FACEおよび本マニュアルの著作権は上記開発者にあります。

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