CNS-FACEⅡは、家族の心理面を客観的に捉え、その量的表現を試みた測定ツールです。しかし、その測定結果は、対象家族の真のニードとコーピングを数量化したものではありません。
心理的な測定尺度として、統計学的手法を中心に様々な分析を加え、信頼性と妥当性を確保していますが、第3者による客観的な評価という測定手法自体がこのツールの限界を特徴付けています。
刻々と状態が変化する患者、様々な非日常的な状況に晒される家族、煩雑で忙しい勤務条件の下でケアをする看護師、こうした背景があるクリティカルケアでも、家族の心理的アセスメントが、過剰な負担を強いることなく、特別なテクニックを必要とせず、比較的短時間で実施できるツールというのが、CNS-FACEⅡの利点です。
測定結果が示す絶対的な数値に囚われるのではなく、経過におけるその数値の変化、各ニード、各コーピングでの測定値との対比、特定の集団との比較など、相対的評価をするところにその意義があります。
CNS-FACEⅡのみで対象家族の心理的アセスメントをするようなことは避けてください。人の心は、物差しで測って済むようなものではありません。信頼関係を土台とした人と人との相互作用、ケアを受ける側と提供する側との援助関係、そして何よりも「人が好き」、「あなたの苦しみを和らげたい」といったアセスメントする側の人としての姿勢が最も大事だと思います。その基本に則って家族アセスメントをするときの一つの手段として、このCNS-FACEⅡを活用してください。